病気への対処
ふだんは丈夫な人でも環境が変わることで体調に異変が起きたり、開放感でふと気が緩み無理をしたり調子に乗ったりして、体調を崩してしまうこともあります。
病気や怪我といった不測の事態は、自分も辛いですし同行者にも心配をかけてしまいます。
アウトドアフィールドでは、携帯電話が圏外で救助が呼べなかったり、救急隊の到着までに長い時間がかかる場合が多いです。
食中毒
食あたりとか冷たい飲み物の飲みすぎなどで「少しおなかが・・・」「ちょっと下痢気味」ってことはよく聞く話ですが、食中毒は【ちょっと】って程度ではなく、のた打ち回るほどの症状がでるってこと。トイレに入って、そのまま死んでしまうのかも・・・と思わせてしまうほど苦しい症状です。
アウトドアの食事、バーベキューとかお弁当とか、どうしても家庭での食事と違い保管状態が不十分になりがちです。
食材の保存性を考慮したメニューを決めたり、火を使うメニューを多くすること。キャンプなどで期間が長くなる場合、肉類などは可能な限りその時の食材を現地で購入するようにすれば食中毒予防にもなります。さらに調理に使うまな板・包丁などはきれいに洗って十分風乾させ、場合によっては熱湯殺菌をしましょう。
感染型
サルモネラ菌・腸炎ビブリオ・カンピロバクター・病原性大腸菌O-157など。これら細菌がついた食品を食べ体内に入って増えることで中毒を起こします。
毒素型
黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌などで、こうした細菌が増殖する時に毒素が作られ、毒素のついた食品を食べることで中毒を起こします。
対処法
食中毒によって下痢や嘔吐を繰り返したからだは、水分が不足し脱水症状を起こしやすい状態にあります。水分補給と適当な塩分・糖分などの補給に行いましょう。スポーツドリンクなどを上手に活用するのも一つの方法です。
下痢止め薬は場合によっては深刻な症状を引き起こすこともあり危険です。まずは医療機関を受診し、指示をあおぎましょう。
日射病/熱射病
炎天下に長時間太陽にさらされ続けるのは大変危険です。
日射病の始まりは、炎天下で熱の放散を高めるため皮膚の末梢血管が拡張し、その結果として脈が早くなり血圧が低下し、眩暈や一過性の失神などをおこします。
アウトドアで眩暈など気分が悪くなったら、まず日のあたらない涼しいところに寝て、衣服のボタンやベルトを緩めて楽にしましょう。十分に水分を補給することが大切です。通常は数10分から数時間で回復してきます。
ただし、回復せず熱疲労がひどくなった場合、発汗が止まって熱がこもり、体温の異常な上昇(40度以上)がおき脳や肝臓・腎臓などのダメージで、吐き気・ショック症状・意識障害が起こってきて危険です。放置すれば多臓器不全となり命に関わってきます。
対処法
最初は「軽い症状」と思われたものが急激に悪化して重症となる場合もあるので、たかが日射病と甘く見ず、もし体調がよくならないのであればすぐに病院へ行きましょう。
ヒートロス・低体温症
水に落ちたり、川遊びで長時間水中にいたり、山で夕立に打たれたりしたら、体温は急激に奪われてゆき、震えが起こります。これがヒートロスとよばれるもの。さらにこの症状が進むと体が動かなくなり、低体温症という非常に危険な状態になっていく危険性があります。
体が寒さを感じると末梢細動脈が収縮し皮膚血流を低下させて、熱の放散を抑えるとともにふるえなどの発熱反応が起こりますが、体温が30℃以下になるとふるえすら起こらなくなり、加速度的に体温は低下していきます。
さらに体温が低下するにつれて精神・運動能力ともに低下するため、その人本来の能力を発揮できなくなり、さまざまな判断力が早い時期から低下します。
対処法
初期段階での防寒対策が重要で、フードやドライスーツは有効な手段です。寒さに対する耐性は個人差があり、皮下脂肪の量などで異なってきます。自分の寒さに対する耐性を知り、過度の我慢は避けましょう。
高山病(低酸素症)
高山では空気が地上と比べて薄いため、概ね2400m以上の高山に登り酸欠状態に陥った場合に、さまざまな症状が現れます。これが高山病です。
気圧が低く、空気も薄くなる高山では体内に供給される酸素が不足して動悸・めまい・頭痛・吐き気などの症状が表れます。症状が重い場合、無駄な体力を使わないよう安静にし酸素吸入を行います。そして酸素の多い標高まで下山します。
高山病は脱水状態によっても生じやすくなります。高山では呼吸の回数が増えることで、口から水蒸気の形で体内の水分を失われやすくなるので、予防のためにはこまめに水分補給を行うと良いでしょう。
予防法
- 体を徐々に慣らしながらゆっくり登る
- 休憩を取りながら登る
- 意識的に深い呼吸をする
- 十分な水分補給をとる
- 十分に保温する
- お酒は駄目!
おかしいと思ったら
- 低いところへ移動し、酸素の濃度を上げ、回復したらまた登ります。
- 酸素ボンベを使う。スポーツ店で1.000円程で購入できます。
- 無理をせずに下山する。
一酸化炭素中毒
アウトドアで一酸化炭素中毒 と、ピンとこないかもしれませんが、テント内での一酸化炭素中毒事故はよく発生しています。
冬季などにテント内でバーナーを使用したり燃料タイプの暖房器具を使ったりが原因で、一酸化炭素は無色無臭の気体で、普通にはなかなか気がつきません。
対処法
テントや車内で一酸化炭素中毒が発生した場合、できるだけ早くテントの入り口や車の窓を開け放ち換気をしましょう。中毒の原因となったバーナー類を消すときには、爆発の危険があるので十分に注意しましょう。
軽度の一酸化炭素中毒では、新鮮な空気を吸うことで回復することが多いでが、重症の場合はフェースマスクを使った高濃度の酸素吸入や人工呼吸は必要になってきます。
一酸化炭素中毒はその時には何ら症状がなくても、数日後になって記憶障害などが現れることがあります。程度の大小に関わらず、医師の診察を受けましょう。