毒ヘビ

出血毒と神経毒

ヘビの毒には、クサリヘビ科に代表される「出血毒」と、コブラ科に代表される「神経毒」があります。

マムシやハブなどは出血毒です。

ヘビ

出血毒とは、唾液と同じ消化液が強力に進化したもので咬まれた箇所から毒が入りタンパク質を溶かし血管組織破壊していきます。咬まれるとすぐに激痛が襲い内出血が拡大していきます。

出血のため患部は腫れ上がり、ひどい場合には循環障害のため筋肉細胞が壊死し、ダメージをより深めていきます。手当てが遅れたり、咬まれた箇所あるいは毒量によっては、循環器全体や腎臓にも障害が広がって最悪は死に至ります。

一方、コブラなどのコブラ科の神経毒は、神経を麻痺させて相手を動けなくする効果があります。

症状は、しびれや運動・知覚マヒや呼吸困難などで、死亡率は出血毒よりはるかに高いです。

毒ヘビもこちらから何もしなければ攻撃してこないのでイタズラは厳禁!棒などを持っていても飛び跳ねて噛み付いてくる場合もあります。

ただし、中には攻撃的な固体もいますし、気付かずに踏んでしまって咬まれる危険性もありますので、足元の見えない茂みなどは注意が必要です。

咬まれる箇所のほとんどが足首や太もも。茂みなどに入る時は、長靴やキャハンで防備しましょう。


マムシ

日本で最も多くの被害を出しているヘビ。

体長は45~60センチと短く、やや太短い体型でずんぐりした印象。

銭形模様が並ぶ背面に頭は三角形に近い形が特徴。ただし、体色には変化が多い。

咬傷による死亡率は高くないが、これは毒の注入に失敗したり小型であるため毒量が少ないことや、神経毒が少ないためである。
しかし、毒性そのものではハブよりもはるかに強いので、充分な注意が必要です。

マムシ
マムシ マムシ マムシ

症状

  • 20~30分後、激しい疼痛、出血、腫脹。
  • 1~2時間後、皮下出血、水泡形成、リンパ節の主張と圧痛。発熱、めまい、意識混濁など。

1時間以上経過しても、疼痛・腫脹がおきない場合は、毒素が注入されなかった可能性がある。

アオダイショウとの比較

アオダイショウの幼蛇はマムシと同じような銭型模様をし、怒らせると威嚇のためか頭を三角形にして攻撃してきます。そのために間違うときもあります。

アオダイショウ

ヤマカガシ

全長は1mほどで、大きいものは1.4mに達する。

体色は、褐色の地に赤と黒の斑紋が交互に並んでいるが、体色や斑紋にちがいも多い。日本のヘビの仲間では非常にカラフルな部類。

ヤマカガシ

幼蛇は黄色の首輪がある。

ヤマカガシの毒牙は、マムシやハブ(前牙類)と違い後牙類であるため、咬まれても毒牙までとどいてない可能性がある。

また、危険が迫ると相手の目を狙って毒液を飛ばし、これが目に入ると結膜、角膜の充血や激しい痛みを生じ最悪の場合失明につながる。

ヤマカガシ
ヤマカガシ ヤマカガシ ヤマカガシ

症状

ヤマカガシもマムシと同じく出血毒であるが、おもに血小板に作用してこれを破壊する性質で、クサリヘビ科(マムシ・ハブ)の出血毒とは異なり激しい痛みや腫れはあまり起こらない。

しかし、咬まれてから20~30分後ぐらいから、血液の中で化学反応が起こり血小板が分解されて、全身の血液が凝固能力を失い、全身に及ぶ皮下出血、歯茎からの出血、内臓出血、腎機能障害、血便、血尿など最悪の場合は脳内出血が起こる。


ハブ

南西諸島に生息。全長は1~1.5m程度。長いもので2m。

地元では色彩によって金ハブ、銀ハブ、黒ハブに区別されている。

毒性は出血毒で、咬まれた直後から細胞組織の破壊が始まるため、患部は大きく腫れ上がり激痛を伴う。毒の回りは遅くじわじわと組織を破壊しながらゆっくりと全身に回っていく。これはハブの毒が元々獲物を消化する消化酵素(タンパク質の分解)であるためです。

毒性はマムシより弱いのですが、体格が大型なので咬まれると大量の毒液が注入されるため危険です。

ハブ
ハブ ハブ ハブ

毒ヘビの特徴

  • 咬んだ跡に2つの牙跡ができる(1~4ヶ所の事もある)
  • 痛みが強く咬まれた所が変色している
  • 頭部は三角形あるいはさじ形のものが多い

応急処置

牙跡は通常2ヶ所(1~4の場合もある)で、現場で可能な処置は咬傷部より心臓側で軽く縛り安静にする。身体を激しく動かすと体液の循環が促進されて毒のまわりが早くなる。

毒蛇に咬まれた時の応急措置として「口で毒を吸い出す」と言われているが、これは素人が口に毒を含むことになるので危険です。毒吸引器などを使ってなら行なうべきでしょう。

大至急、救急車を呼ぶか病院へ運ぶ。歩かせたりしてはいけない。