飲料水を考える

水分の取り方

スポーツなどでは飲料水の飲み方ことがよく話題になりますが、トレッキングや登山などのアウトドアでも同じです。

006

ひとことに水分の取り方と言っても喉が渇けば飲めばいい・・・と思ってしまうものですが、喉が渇いてると感じた時にはかなり遅いらしく、喉が渇いたと感じる前に摂取することが重要だそうです。

昔は「水を飲んだらバテる」とか言って、水も飲まずに頑張ってるスポ根物語のような光景が当たり前のように思われてました。

体内の水分量は、腎臓が作る尿の量によって一定の幅を保つよう調整されるようになっています。喉が渇いたと感じた時には、この機能が追いついてない証拠。だからと言ってここで一気に大量の水分を補給すると、水中毒になる可能性も出てきます。

特に夏場など大量の汗をかくと水分とともにナトリウムやカリウムなどの塩分失われるため、この状態から一気に大量の水を摂取すると、血液内の水分量は増えるが塩分が不足することで血液内の塩分濃度が薄まり余分の水分を取り除こうとし、その結果、水分補給してるにも関わらずすぐに排泄したり発汗したりで水分不足となってしまいます。

その結果、血液からどんどん水分が失われ水を飲んでいるのに脱水となり、塩分不足の筋肉痙攣が起ったりします。

喉が渇いたと感じる前に水を飲むことで体内の急激な変化を起こすことなく、ゆるやかな調整機能に任せておくことが肝心です。

体外から入ってくる水分を、体内の機能で吸収し安定した体液として変わるまで時間がかかるということ。早めに手を打っておくことが必要なのです。


スポーツ飲料

スポーツ飲料は、効率良く水分を補給できるように開発されています。

スポーツの際に失われがちなカリウムイオンやナトリウムイオンといった電解質やマグネシウム・カルシウムといったミネラル分を含み、また生理食塩水に近い浸透圧で胃腸に負担を掛けないようにも配慮され、運動時に筋肉中に蓄積される乳酸の分解を助け、回復を促すクエン酸や疲労回復の際に最も効率の良いエネルギー源であるブドウ糖やショ糖を含んでいます。

アイソトニック
スポーツ飲料のなかで浸透圧が体液とほぼ同じ。
ハイポトニック
スポーツ飲料のなかで浸透圧が体液より低い。

浸透圧とは

血液や汗などからだの水分のことを「体液」といいます。

体液は細胞にある薄い膜をはさんで内と外に流れ、この膜にかかる圧力を「浸透圧」といい、濃度の違う溶液が薄い膜を境にして薄いほうから濃いほうへ動く現象を数量化したもの。

体液に溶けている物質の濃度によって数値は変化します。浸透圧は溶液中に含まれているイオンやブドウ糖、タンパク質の個数をあらわし、個数が多いほど浸透圧が高く少ないほど低くなります。

*浸透圧がつりあっている状態をアイソトニックと呼ぶ。


アイソトニックか?ハイポトニックか?

007

アイソトニックとハイポトニック、成分自体がほぼ同じであるなら、あとは「濃い」か「薄い」かです。浸透圧の違いが含む成分の量で変わるのだから、「濃い」か「薄い」かで吸収速度が変わるってこと。

吸収速度だけを考えれば真水が一番だが、スポーツ飲料のように塩分が無いため塩分濃度が薄まった結果、濃くする為に水分を排泄してしまいます。

スポーツ飲料はそのような状態になりにくく、水分の保持時間が長いのが水より優れている特徴のようです。

それとスポーツ飲料に含まれる大事な要素として挙げられるのがエネルギー源となる成分を含んでいること。

アイソトニックとハイポトニックの使い分けとして、運動前は吸収よりも成分濃度でアイソトニック。運動中や運動後は吸収が早いハイポトニックと使い分けて飲むのがいいようです。

アイソトニックを水で薄めて【即席ハイポトニック】とか・・・


お茶はダメみたい

ごはんの時は「お~いお茶っ!」でいいのですが、運動時の水分補給にはどうも適してないようです。

お茶にはカフェインが含まれていて、このカフェインに利尿作用があってトイレが近くなるようで、せっかく補給した水分も出してしまったら意味の無いものになってしまいます。

富士山のように有料トイレだと、余計な出費がかさみます。

【日本人はお茶】と思いがちですが、万国共通で水分補給は水がベストでしょう。


水が一番!

スポーツ飲料は吸収が良くバランスもいい!!ってCMなどを見てると【カラダにいい!】というイメージが付いちゃって、家にいるときでもお茶代わりに飲んでいる人もいるようですが、運動時はよくても普段の生活では糖質の取りすぎになるとのこと。炭酸飲料より多いとか・・・

毎日の水分補給は水が一番のようです。


水中毒

水中毒とは過剰の水分摂取により生じる低ナトリウム血症を起こす中毒症状。

腎臓の水の処理能力は、通常16ml/分で、これを越える早さで水を飲むと、体内の水分が過剰となり、体内の細胞の膨化が起こり低ナトリウム血症を引き起こすとのこと。

血液中のナトリウムイオン濃度の低下に伴って

  • 130mEq/Lで軽度の疲労感が出始める
  • 120mEq/L以下で頭痛、嘔吐、精神症状
  • 110mEq/Lに近づくと性格変化や痙攣、昏睡
  • 100mEq/L以下になると神経の伝達が阻害され呼吸困難などを引き起こし死亡する

以上のような症状が出るようです。